第43回大阪国際女子マラソンで姿勢観察

28日に大阪国際女子マラソンが開催され、日本の前田穂南選手が日本新記録で2位になりました!
1位はエチオピアのウォルケネシュ・エデサ選手です。
私、実はマラソンはそれほど興味がなく、その日もスポーツ観戦が大好きな夫が、テレビで観戦していたので何の気なしに一緒に観ていました。
いつもの我が家の風景でしたが、その日はふと、「マラソン中継って、動作を伴う姿勢観察に最適なのでは⁈」と気づきました。
特に上位の選手は正面から、横から、時には後ろから、走る姿をずっとアップで映してくれます。「これはいい!」と2時間近く熱中しました。

1位のエデサ選手の走り方は、強豪の外国人選手の走りによく見られるような、背中を少しそらせた前傾姿勢で、腕の振りは肘を深く屈曲してコンパクトに振ります。正面から見る足の運びは、まっすぐで体幹の軸も中心に定まっているように見えました。
対する2位の前田選手は、上半身は前傾も後傾もなくまっすぐで、やはり軸は中心にありますが、右足を少し外に開いて着地しているように見え、上半身が少し右に傾いているように感じられました。上半身は脱力していて、肘は90度位の屈曲で振っていました。
エデサ選手は固いアスファルトからの衝撃をマリのように柔らかく吸収していて、前田選手は全身で受け止めているように見えました。2人とも素晴らしいタイムなので、どちらの姿勢も理にかなっているのだとは思います。というのも、後半、前田選手の姿勢について解説者が「疲れて前傾にならないように気をつけてなくては」という内容を話していたので。

2人の走るフォームの違いが面白かったので、どこの筋肉に負荷がかかるのか検証してみるため、その日のウォーキングで試しに真似して歩いてみました。
走る体力はないので、大股でスピードを出して30分ほど試した結果、負荷がかかる筋肉が大きく違っていて驚きました。

まず、エデサ選手の前傾姿勢・・・地面を押す力がパワフルで、膝がビシッと伸展されて地面を蹴っていく感じ。
その伸展のキープ力を支えている大腿直筋に大きな負荷がかかりました。それと同時に前傾の上半身を支える腹直筋も痛くなりました。大腿直筋と腹直筋は筋膜ラインでも繋がっているというのも体感でわかりました。足趾の屈筋も力強く使いました。
この姿勢で長距離を走るには、外国人らしい強靭な筋力があってのことだと感じました。
アスファルトからの衝撃は腰椎の下部で止まる感覚でした。
また、前傾姿勢は肩甲骨が内転しやすくなるためか、腕の振りはコンパクトな方がナチュラルでした。

次に前田選手の姿勢・・・前傾も後傾もしない姿勢は、足を前に送るため、股関節を屈曲させる腸腰筋に負荷がかかる感覚でした。前に送り、踵を地面につけ、足趾で地面を蹴っていくので、背屈筋、底屈筋、足趾の屈筋が疲れました。
エデサ選手のダイナミックな蹴り方と違い繊細な足運びで、下半身のいろんな筋肉をバランスよく使う感覚。アスファルトからの衝撃は脊柱起立筋の上部まで伝わりました。中殿筋もとても疲れたので、繊細な足運びを支えてバランスをキープする中殿筋の役割も実感できました。

この検証を夫に伝えたら、「一流選手と素人で運動不足のおばちゃんでは、筋肉が違うんだから・・・」と一蹴されましたが、動きによって、どの筋肉に負荷がかかるのか、どう連動していくのかを考えるヒントにはなりました!

動きを伴う姿勢の観察は、その方の日常が反映されていて、施術でアプローチするためにとても大事な情報です。
観察眼を鍛えるため、これからもいろんな動きを観察してみたいと思います。
肖像権があるので写真は載せられませんが、エデサ選手、前田選手の走るフォームをどこかで見つけてみてください。

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