マッサージセラピーで「肩甲骨はがし」をすると

「肩甲骨はがし」という文字を、整体などボディケアのお店の宣伝で目にすることがあります。
「はがす」という言葉から受ける印象なのか、ネットでは「危険性」という検索ワードも出てきます。
店舗の広告では、セラピストが肩甲骨の内側に手を入れて、肩甲骨をはがすかのように、浮かして施術している写真がよくあります。
肩甲骨はがしとは具体的にどんな施術なのか。
それは肩甲骨周りの筋肉をほぐして柔軟性を改善し、肩甲骨を動かしやすいようにする施術です。

肩甲骨は、腕と一緒に動いて可動域が大きい腕の動きを助けています。
肩甲骨が動きづらくなると、肩関節に負荷がかかったり、腕の自由な動きが制限されたりします。
肩甲骨が動くためには、肩甲骨を動かす筋肉の柔軟性がとても大切です。
腕の動きと連動して肩甲骨を動かすための筋肉は6個あります。(肩甲骨に付着する筋肉はもっとたくさんあります)

僧帽筋   一番表層にあり、肩甲骨に付着するだけでなく、首、肩、鎖骨、背骨まで付着部が広範囲に広がる
肩甲挙筋  肩甲骨と首に付着部を持つ
菱形筋   肩甲骨の内側と背骨に付着部を持つ
前鋸筋   肩甲骨と肋骨に付着部を持つ
小胸筋   体の前面にある烏口突起(肩甲骨の一部分)と肋骨に付着部を持つ
鎖骨下筋  鎖骨と肋骨に付着部を持つ小さい筋肉

例えば、腕を側方へ上げていく時、90度までは腕の筋肉を使いますが、90度~180度まで上げるには肩甲骨が外側に開かないと上がりません。この動きでは、僧帽筋(上部・下部)と前鋸筋が収縮して肩甲骨を動かします。
上げた腕をおろす動きは、僧帽筋(中部)と菱形筋が収縮して肩甲骨を内転させ元の位置に戻します。
他の筋肉も働きますが、肩甲骨の動きに限定してみてみると、そのようになります。

また、現代人はデスクワークやスマホ操作の影響で、肩が上がりすぎ(肩甲骨の挙上)、前に出すぎ(肩甲骨の外転)の方が多いそうです。
そのような姿勢では、僧帽筋(上部)、肩甲挙筋、前鋸筋が固く、短くなっていて、菱形筋、僧帽筋(下部)が機能低下しています。
「肩甲骨はがし」は、このような筋肉にアプローチしています。

アプローチ方法は手技によって、揉捏したり、ストレッチしたり様々な方法があると思いますが、当サロンのマッサージセラピーなら、オイルを使う利点を活かして、筋肉の繊維に沿って連続した圧を届けられるため、こんな風にアプローチすると思います。

①まず始めに姿勢の観察をして、肩甲骨の位置の左右差を確認する。
 肩甲骨を動かしていただき、動きの特徴も見ておく。

➁上半身全体の筋肉を、手のひらを密着させるストロークで全体的に温め、ゆるみやすくする。

➂脊柱に沿って深い圧をかけ、僧帽筋や菱形筋の背骨側の付着部の緊張をゆるめておく。

ここで初めて肩甲骨周りの筋肉へ
④まず、表層にある広い僧帽筋を上部、中部、下部の筋肉繊維に沿ってゆるめる。

⑤次に僧帽筋の下にあって、筋繊維が直角に交わる菱形筋を、深い圧でなめすようにゆるめる。

⑥続いて肩甲骨と首をつないでいる肩甲挙筋を狙って端から端までゆるめる。

⑦前鋸筋をゆるめるため、1本ずつの肋骨に沿って肩甲骨まで、繊細に丁寧に圧を届けていく。

⑧仰向けになり、鎖骨下筋と小胸筋を筋肉繊維に沿ってゆるめる。

簡単に説明するとこのような流れになります。
上記の筋肉の他にも肩関節を動かすための筋肉が、肩甲骨にいくつも付着していて、そこに固さがあると肩甲骨の動きは制限されるので、三角筋や肩回線筋群など、その他の筋肉にもアプローチすることになるでしょう。

⑨そして、猫背や骨盤の傾きがあると、また元の状態に戻りやすくなるので、自宅でできるストレッチや姿勢改善の方法をお伝えしています。

マッサージセラピーでは、10人いらっしゃったら10通りの「肩甲骨はがし」があります。










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