腕の付け根は鎖骨
「腕の付け根はどこ?」と聞かれたら、「肩関節のところ」と答えてしまいそうになりますよね。
腕を上にたどっていき、上腕骨頭の関節部が付け根という答えは、解剖学的には合っているでしょう。
でも、鎖骨の役割を知ったら、腕の付け根は鎖骨というイメージがとても大切であることがわかります。
腕は、体の関節の中でとても可動域が大きく、あらゆる方向に動いて私たちの日常を支えてくれています。
腕が動くとき、肩甲骨が上がったり、下がったり、開いたり、閉じて、一緒に動くことで腕が動かせます。
腕の付け根は肩甲骨のソケットにはまって関節を形成しているから。
でも、腕が動くにはもう一つ、鎖骨が大事な役割を持っているんです。
腕を動かす時、必ず体幹も動きますよね。腕を動かすのに体幹が微動だにしない人はいないと思います。
鎖骨は胸の骨と肩甲骨の2か所で関節を形成して、腕の動きと体幹部分を繋げる大事な骨なのです。
試しに手で鎖骨に触れた状態で、腕をグルグル動かしてみてください。鎖骨が連動しているのがわかると思います。
鎖骨の動きを分解して詳しく見てみると、
肩を上げる→鎖骨も上がる
肩を下げる→鎖骨も下がる
肩を前に出す→鎖骨も前に移動
肩を後ろに引く→鎖骨も後ろに移動
腕を後ろに回す→鎖骨は前方に回旋
腕を前方に持ち上げる→鎖骨は後方へ回旋
このように、鎖骨がなめらかに動くことで腕をスムーズに動かせるのです。
鎖骨がスムーズに動くためには、筋肉の柔軟性もとても重要です。
鎖骨には5つの筋肉がついています。
胸鎖乳突筋、僧帽筋、大胸筋、三角筋、鎖骨下筋です。
鎖骨下筋は小さい筋肉ですが、それ以外の4つの筋肉は大きく、固くなってしまうと鎖骨の動きに影響を及ぼします。
柔軟性を保てるように、時々ストレッチなどでほぐしてあげてください。
<おすすめのストレッチ>
①鎖骨の下のラインを両手で優しく抑えながら、首をいろんな方向へゆっくり動かす。
(鎖骨の上部のストレッチになります。)
➁左手で右側の鎖骨の下のラインを抑えて、右腕をゆっくり大きく動かす。
「腕の付け根は鎖骨」というイメージで腕を動かすと、大きくダイナミックに腕や肩甲骨が動くのを感じてみてください。
参考文献:「肩こり、首痛、頭痛は鎖骨を5秒ほぐすだけ」「感じてわかるセラピストのための解剖生理」